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キャロル600レストア記録

やっと工事開始です。

はじめに
よく「キャロルを入手したのでレストアしたいのだが・・」というご質問をいただくことがある。それに対して私はたいていの場合は「フルレストアはやらない方がいい」と答えている。
 私自身、キャロルに出会ってから5台以上の車両を購入し、とりあえずの板金から本格的なレストアまで経験してきた中で、同じようなパターンを多々経験してきた。その上で、ひとつの座標として私の経験や知識が、これから新しくキャロルのオーナーになられる方々のお役に立てれば・・という思いでこのページを作っている。参考にしていただければ幸いである。

7倍の法則
「7倍の法則」をご存知だろうか。これはレストアを手がけるショップの人に聞いた話で、旧車をそこそこ乗れるようにしようとすると、買った車の7倍お金がかかるという法則だ。振り返ってみると「初代ドドンパ」はかなりざっとした板金や修理だったが約40万かかった。購入金額は7万だったから約7倍である。
キャロル600は130万で購入したが現時点で700万円は超えている。これに車両価格を含めると約7倍に近くなる。旧車というのはこれほどお金がかかるものなのだ(特に国産車は・・)。であるから自分が賭けたお金は、たとえ車を売ったとしてもたぶん返ってこないということを肝に銘じておくことだろう。安易な気持ちでレストアに手を出すと、経済的にも精神的にも大打撃を受けることになる。
たとえ莫大なお金と時間を使ってレストアしても、それはけっして「報われない」自己満足だということを覚悟した上で、それでもレストアするのであればいいと思う。

キャロルの現状
現在、マツダから供給されるパーツは数えるほどしかない。レストアに必須のエンジン・ボデー関係は皆無に等しい状態だ。私は600のレストアにあたっては、まずパーツの収集に死に物狂いで走り回った。当時はインターネットオークションなど無かったので、雑誌やイベントでの収集は大変苦労した。金額もたぶん150万円を超えたと思う。パーツが揃わなかったらレストアは断念していただろう。
部品取車を購入しても壊れやすい部分は同じで使えないことが多いし、程度の良い車両はけっこうな値段がつくことが多い。フルオリジナルでのレストアは極めて難しいと考えている。よほどの情熱とお金をかけれないのであれば現状に限りなく近い「プチレストア」や流用を多用した「改造」をお勧めする。

購入前の写真。欠品こそ無かったが、いたるところに腐食による穴があいていた。このキャロルを前にして考えたことは2つ。一つはこのままの状態でエンジンだけOHして乗る。そしてもう一つは完全オリジナルでレストアすること。最初の工場での見積もりは200万。複数回の分割にしてもらえればなんとかなりそうな金額だ。悩んだ末導き出した答えは、この600の希少性を考えてフルレストアすること。(最終的には400万円近くになったが。・・)理由はこの600の残存数。ずっと調べているが存在が確認できず、最悪国内最後の車体かも知れず、このまま放置もしくは中途半端なレストアでダメにしてしまう可能性があった。べつに私が犠牲にならなくてもいいのだが、こんな車に大金はたくのは自分以外考えられなかった。個人的な自己満足や虚栄心も拍車をかけた。ただ後世に残したいというささやかな気持ちも頭の隅にはたしかにあった。
もうひとつレストア決行の決め手になったのが内装。程度はよくないもののオリジナルで残っていたのが幸い(?)した。もし、内装類がダメであったらたぶん本格的なレストアは考えなかったと思う。当時の開発陣が特別に織物工場に作らせた自信作「サランレップ」のシートや内張りは、なんともいえない良い雰囲気をもっている。この純正のシートを生かすには外装も徹底的にやろうと腹が据わった。そして専門家にまかそうと考えたのも、できるだけ忠実に再生したかったから。もちは餅屋。素人が10年かかってもプロの足元にも及ばない(例外もあるが)。ましてやそんなに時間がかかってしまうと車自体が腐ってしまう。
レストアにあたってはこれまたひと悶着あったのだが、ここではべつの機会に譲るとして、最終的にお世話になった「田口車体工業」でのレポートでまとめてみた。 まず、すぐさま板金が行われ、腐食部分の切開・切り接ぎと徹底的なサビ落としが施された。サビのひどかった前後フェンダーは新品を加工(後期型のため)修正して取り付けた。磨き上げた鉄板の地肌は、ほれぼれするような輝きをしている。
地肌を磨き上げたらすぐにプライマー処理される。時間との勝負だ。サビは5分でも発生する。プライマーは有名な「シッケンズ」製。ここではパートごとにこの作業を繰り返す。少しづつ丹念に、サビを発生させない為だ。そしてプライマー処理が終わると、こんどは時間をおき十分に溶剤を飛ばす。このあたりはプロの腕のみせどころだ。
ラジエターフードやエンジンエプロンなどの小物は、サビ除去後クロメートメッキで防錆処理し、サスペンション類は特殊プライマーで処理しウレタン塗装後組み上げた。思ったほどこのあたりの鉄板は腐食が少なかった。常にオイルやグリスで汚れていたのが幸いしたようである。
エンジンは汚れていたが幸い大きなダメージはなかった。ブロックとミッションの隙間から漏れたオイルがびっしりとこびりつき、厚いところで3センチも堆積していた。このときは予算がなく、汚れを落としただけで再び載せることとなる。
内装はとにかくオリジナルにこだわった。ドアの内張りは芯となるボードのみを新作し、ビニルレザーはそのまま使用した。前後の座席は破れた所を補修し、ヘタっていた運転・助手席は中のウレタンクッションを交換。天然素材のヤシ樹皮は入手困難なので形を整えて再使用した。
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